
和歌山ものづくり文化祭2025春-モジュールによる会場構成-
会場構成: | 3411 STUDIO 神出顕徳 |
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加工,設営: | 大彦株式会社,寺本紙器株式会社 | 写真: | 中辻亮 (photo credit) |
計画地 : | 和歌山市、日本 |
計画面積: | 740m2 |
階数: | 1階 |
構造: | 木造,段ボール |
設計期間: | 2025.01~2025.02 |
設営期間: | 2025.03.06〜03.07 |
開催期間: | 2025.03.08〜03.09 |
来場者数: | 7561名 |
■和歌山ものづくり文化祭の概要
例年多くの来場者を迎え、今回で第3回目を迎える本イベントは、和歌山発の集合型オープンファクトリーとして、菊井鋏製作所3代目である菊井健一氏を発起人に始まった。主に和歌山県北部の企業が一堂に会し、ものづくりに関するワークショップを実施するイベントである。
■場所性について
場所は、和歌山城を前面にけやき大通り沿いに位置する和歌山城ホールの一階である。けやき大通りは、JR和歌山駅まで続く市内のメインストリートであり、十分な道路幅員が確保され終日交通量が多い。
■会場について
会場は「公開空地」「半屋外空間」「屋内空間」の3つの領域に分けられるが、可動式間仕切りサッシを全て開放することで、内外一体の空間利用が可能となっている。また、室内最奥部から歩道まで約45mの奥行きを有し、非常に伸びやかな構成が可能な会場である。
■計画の背景
参加募集は会期の約6ヶ月前にスタートし、会期までに企業を交えた定例会が4回行われた。
各社はワークショップ内容を練り上げる過程で、運営スタッフや他社とのディスカッションを重ね、内容を改善・洗練させていく。
そのプロセスを目の当たりにした私は、職人一人ひとりの中に「良いものをつくっている、そして発信したい」
という誇りと向上心を強く感じた。
■計画の概要
共通の意志を持つ職人たちが一堂に会すこのイベントの会場構成において、
モジュールという共通の構成単位が、用途や場面に応じて単体または集合体として立ち現れ、
空間に機能性を持たせながら、会場特性を踏まえたリズムや奥行きを生み出す構成がふさわしいと考えた。
■空間構成
公開空地にはモジュールの集合によって部分的に張り出した長方形型の木架構物を中央に配置した。
また、単一で成立するベンチやのぼりスタンドをランダムに配置することで、公園のような公共性を持つ場を生み出し、
街からの連続的な空間体験を意識した構成としている。
屋内へ進むと、段ボールによって構成した(半屋外部分は木材) 1社1ブースと本部ブースを含めた、計17ブースが左右に配置されている。
さらに最奥部には、1単位500角の段ボール板を噛み合わせて構成した集合体によるトークセッションブースを計画し、
ものづくりにふさわしい象徴的な背景を設けた。
和歌山ものづくり文化祭での状況を物体としてアウトプットすることで、イベントの発信力を高めることを意図した。
モジュールの集合によって構築された空間は、その物量によって来訪者の心と身体を包み込み、
ものづくりの素晴らしさを街に向けて発信するインターフェイスとして機能する。































