建築について
"建築とは何か。"
大学・大学院生の頃、在籍していた研究室の教授(以下、教授)によく問いかけられていたことです。
初めてその質問をされた時、それまで当然のことのように建物そのもののこと、
あるいは建物を建てることだと思っていたので、当時の自分にとってはかなり衝撃的な質問でした。
3回生になり初めて教授の講義を受講し、その内容は動物園にいって、
調査対象として設定した動物が存在することで周りに与える影響をプレゼンテーションする、というものでした。
私は開園から閉園まで一日中その動物の前にいて、注意深くそれを観察しました。
たしか合計で7回ほど動物園に足を運んだと記憶しています。
今思えばその経験が建築を考える上での基盤になっているように思います。
建物が現れることによって、周り(街や都市、あるいは社会)に与える影響を考える。
建物は単体では成立しない、周辺環境に何らかの影響を与えた瞬間、街や都市、社会に認知され存在価値を獲得します。
つまり建築とは、建物を建てる行為や建物そのものを限定して呼称するのではなく、
それが立ち現れることで環境と相互に影響し合い、新たな"出来事"を生み出すものとして捉えることはできないでしょうか。
その瞬間、私は初めてその物体を"建築"と呼べる気がしています。
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